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- コラム

自然エネルギーや環境保全などに関する様々な取り組みを解説します。

GX2040ビジョンで長期的に脱炭素を目指すには?政策の見直しや将来の展望について解説

GXとは、グリーントランスフォーメーションの略称です。化石燃料の使用を抑え、クリーンなエネルギーへの移行を目指す取り組みのことで、経済産業省は「GX2040ビジョン1」で長期的な発展にむけた政策方針を策定しています。
本記事では2回にわたり、GX2040ビジョンの内容を前後編にわけて解説します。前編では、GX2040ビジョンの前半部分をまとめ、概要や背景、具体的な施策について解説しました。後編となる今回はエネルギー政策の見直しや、移行を推進するための施策など、将来の展望につながる項目について詳しく解説します。

GXを加速させるための個別分野の取組

GXを実現するためには、エネルギー、産業、カーボンリサイクルなどの分野ごとに戦略的な取り組みが求められます。エネルギー分野では、省エネや再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、原子力や次世代エネルギー源の活用も視野に入れています。また、産業分野、カーボンリサイクル分野といった様々な分野の施策を組み合わせることで、日本のGXを加速させ、持続可能な経済成長を実現することを目指しています。

エネルギー分野の具体例

エネルギー分野では、脱炭素電源を最大限に活用することが重要です。再生可能エネルギー、特に太陽光や風力などの導入が進められています。ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力の開発が進められ、2040年までに大規模な導入が目標とされています2。原子力については、安全性を確保した上で再稼働を加速し、次世代型の革新炉への転換も進めています。さらに、次世代エネルギー源やカーボンキャプチャー技術を活用し、脱炭素化に向けた取り組みが進行中です。これらの取り組みを通じて、エネルギーの安定供給確保と経済性を両立させながら、脱炭素の実現を目指しています。

資源分野における自律経済の確立

資源分野においては、再生可能資源の循環利用が重要な課題となっています。リサイクル材の活用を進め、製品のライフサイクル全体を通じて環境への配慮を徹底することが求められます。再生材の利用計画を作成し、定期的な報告を義務付け、資源循環に配慮した製品の可視化や価値化を図り、革新的ものづくりを促進します。このようにして、資源を無駄なく活用し、温室効果ガスの削減を目指す取り組みが強化されていきます。

カーボンリサイクル分野

カーボンリサイクル技術は、脱炭素の鍵となる技術の一つです。合成燃料やバイオものづくりの分野では、低コストで実用化を進めるための研究開発が行われています。例えば、合成メタンやグリーンLPGの導入促進に向けて必要な制度整備が進められています。また、バイオものづくりの基盤整備を進め、バイオ由来製品の社会実装も進行中です。これらの技術は、カーボンリサイクルによって温室効果ガスを削減するだけでなく、新しい経済活動を生み出す可能性を秘めています。今後、カーボンリサイクル技術が広く普及し、脱炭素に貢献することが期待されています。

成長志向型カーボンプライシング構想のポイント

成長志向型カーボンプライシング構想3は、企業におけるGX事業の予見性を高め、投資を進めやすくするために設計された制度です。この構想の目的は、GXに向けた投資を前倒しで実行できるよう、事業者に対する支援と制度を一体で措置することです。
具体的には、20兆円規模のGX経済移行債を発行し、GXのための先行投資を支援することが挙げられます。また、2028年度からは化石燃料賦課金を導入し、2026年度からは排出量取引制度を本格的に稼働させます。さらに、2033年度からは発電事業者への有償オークションが導入される予定で、これにより、カーボンプライシングが実行されます。これらの施策は、2023年のGX推進法に基づき決定され、企業の脱炭素化を加速させるための重要なステップとなります。

成長志向型カーボンプライシング構想実現に向けた制度措置

成長志向型カーボンプライシング構想を実現するためには、排出量取引制度を2026年度から本格的に稼働させることが鍵となります。この制度は、企業の業種特性や脱炭素への道筋を考慮した柔軟な形で導入され、直接排出が10万トン以上の企業に一律で参加が義務付けられます。排出枠が業種ごとの特性に基づいて対象企業に無償で配分され、排出枠の価格上下限を設定することで取引の予見性を確保します。これにより、企業は排出削減を進めやすくなるでしょう。
また、2033年度からは、排出枠に対する有償オークションが導入され、さらに制度が強化される予定です。加えて、2028年度からは化石燃料賦課金が導入され、炭素排出に対する一律のカーボンプライシングが行われます。これにより、広範な業種においてGXへの動機付けが行われ、脱炭素社会への移行が進むと期待されています。

移行のためのポイントと今後の展望

GXの推進には、経済の脱炭素化を進めつつも、公正で円滑な移行が必要です。この移行を成功させるためには、新しい産業への労働移動を適切に進めることと、転職やキャリアアップ支援が重要なポイントとなります。また、GXに関連する政策や制度の進展に応じて、労働市場への影響を最小限に抑える取り組みも必要です。

公正な移行のポイント

GXを進める際は、公正な移行も重要です。特に、産業構造が変わる中で、既存の産業から新しい産業へ労働者の移動を進めるとともに、高度化したサプライチェーンで引き続き労働者が活躍でき取り組みが必要です。例えば、キャリアアップのための職業訓練やリスキリングプログラム、高度化したサプライチェーンに対応するための新たなスキルの獲得支援などが挙げられます。また、関係省庁は連携し、成長分野への労働移動を円滑に進めるための支援を行い、産業転換に伴う雇用の変化に柔軟に対応しています。このような取り組みが進むことで、GXの成果を最大化することができます。

GXに関する政策の実行状況の進捗と見直し

GXに関する政策の進捗状況は、定期的な報告に基づき適切にモニタリングが行われてきました。
今後も、証拠に基づく政策立案(EBPM)などの手法によるモニタリング、官民での進捗状況の確認、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の進展を踏まえて、GXの実行に向けた政策の進捗状況がGX実行会議等で報告され、必要に応じた政策の見直しが効果的に行われます。
これにより、GXの実現に向けた方針はより具体的に進められ、必要な調整が加えられることで、より効果的に施策が実行されることとなります。

まとめ

GX2040ビジョンでは、産業構造の転換や新たな技術の導入を通じて、環境への負荷を減らしつつ、経済成長を実現することを目標としています。再生可能エネルギーの普及や、エネルギー効率の向上、産業の脱炭素化に伴い、新たな産業の創出や雇用の変化や社会全体の持続可能な成長のために重要なビジョンです。今後も政府と企業が連携し、進捗を確認しながら実行していくことが求められるでしょう。

【出典・参考資料一覧】

  1. 【1】内閣官房「GX実行委員会(GX2040ビジョン)↩︎
  2. 【2】資源エネルギー庁「エネルギー基本計画について(第7次エネルギー基本計画))↩︎
  3. 【3】経済産業省「成長志向型カーボンプライシング構想↩︎