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新しい発電技術!ペロブスカイト太陽光発電のメリットと課題を解説!

ペロブスカイト太陽電池の基本

ペロブスカイト太陽電池は、次世代の環境に優しい発電技術として注目されています。この技術は、ペロブスカイトという新しい材料を使うことで、高効率な発電が可能です。既存のシリコンベースの太陽電池と比較して、生産コストが低く、軽量で柔軟性にも優れています。この記事では、ペロブスカイトとは何か、太陽光発電の仕組み、ペロブスカイト太陽電池のメリットや課題について詳しく説明します。

ペロブスカイトとは何か

ペロブスカイトは、メチルアミン、鉛、ヨウ素などを含む独特の結晶構造を持ちます。ペロブスカイト太陽電池は、この構造を発電層に用いる点が特徴です。ペロブスカイトは従来、灰チタン石を意味していました。しかし、ペロブスカイト構造を持つ物質は灰チタン石だけではありません。
ペロブスカイト構造を構成する化学物質の組み合わせは多数あることから、近年では上記の構造を持つ物質を総称して「ペロブスカイト」と呼んでいます。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、シリコンなどの半導体に光が当たることで電気が発生する仕組みを利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)を通じて直接電気に変換する発電方式です。日本では、太陽光発電の導入が年々進み、2022年度末時点の累積導入量は約71.2GW1に達しており、中国やアメリカなどと並んで世界有数の導入国です。

ペロブスカイト太陽電池のメリット

ペロブスカイト太陽電池は、近年注目されている新しい発電技術です。従来のシリコン太陽電池に比べて多くのメリットがあります。その中でも特に、低コストで製造可能、軽量で設置が容易、高いエネルギー変換効率の三つが際立っています。これらの特徴を詳しく見ていきます。

低コストで製造可能

ペロブスカイト太陽電池は、その原材料が安価であるため、低コストでの製造が可能です。例えば、シリコン太陽電池と比較すると、原材料費が大幅に削減できます。また、原材料は常温で加工できるため、生産工程がシンプルで、エネルギーや時間の効率が高いと言えます。このため、多くの企業がペロブスカイト技術に注目しています。

軽量で設置が容易

ペロブスカイト太陽電池は非常に軽量であるため、設置が容易です。従来のシリコン太陽電池は設備の重さが難点でしたが、ペロブスカイト太陽電池はその概念を覆します。その軽さから、様々な場所、例えば建物の壁面や移動式の発電装置などにも、より簡単に設置できるのです。
軽量であることは、輸送コストの低減にもつながります。さらに、設置時間の短縮にも貢献しますので、災害時の緊急設置にも役立ちます。

高いエネルギー変換効率

ペロブスカイト太陽電池は、高いエネルギー変換効率を持つことが大きな魅力です。現在の研究では、シリコン太陽電池を超えるエネルギー変換効率が確認されています。この技術革新により、同じ面積でもより多くの電力を生み出すことが可能になりました。
省スペースでの高効率発電が実現できるため、都市部や限られたスペースでも大いに役立ちます。発電コストの削減にもつながり、再生可能エネルギーの利用が一層促進されます。
さらに、ペロブスカイト技術はまだ発展の余地が多く残されています。今後さらにエネルギー効率の向上が期待され、未来の主要なエネルギー源となる可能性がある技術なのです。

ペロブスカイト太陽電池の課題

ペロブスカイト太陽電池は、高効率と低コストが期待されている新しい技術です。しかし、この技術にはいくつかの課題があります。主な課題として、耐久性、有害な鉛の使用、そして量産技術の確立があげられます。これらの課題を解決するために、多くの研究者たちが日々奮闘しています。これから、それぞれの課題について詳しく見ていきます。

耐久性

まず「耐久性」についての課題です。太陽光や湿気、温度変化によってペロブスカイトの材料が劣化しやすいのです。特に、湿気が大敵であり、湿気の多い環境では短期間で性能が低下してしまいます。このため、耐久性を向上させるための研究が行われ、湿気や高温に強い新しい材料の開発が進められています。また、封止技術の進化により、外部環境からの影響を軽減する試みも行われています。
この問題を克服するためには、さらなる研究と開発が必要です。実際の使用環境で長期的なテストを行い、その結果を基に改良を重ねていくことが求められています。

有害な鉛の使用

ペロブスカイト太陽電池では、有害な鉛を使用しています。この鉛は効率的なエネルギー変換を実現するために不可欠ですが、環境や健康への影響が懸念されています。特に廃棄時に鉛が漏れ出すことが問題となるのです。そのため、鉛の代わりに使える無害な材料の開発が求められています。例えば、鉛の代わりにスズを用いる試みが行われていますが、エネルギー変換効率の面ではまだ課題が残っています。
さらに、リサイクル技術の向上も必要です。ペロブスカイト太陽電池のリサイクルは、現時点ではシリコン太陽電池に比べて課題が多く、技術的に複雑な部分があります。特に先述の鉛を適切に回収・処理する必要があり、リサイクルプロセスにおいても鉛の使用が大きな課題となっています。

量産技術の確立

もう一つの大きな課題は、量産技術の確立です。研究室での試作は成功しているものの、産業レベルでの量産にはまだ多くの課題があります。特に、一貫した品質の確保と高い生産効率が求められています。
量産化に向けた課題解決には、均質な原材料供給が大量製造プロセスでの歩留まりや製品品質を確保する鍵となります。また、ペロブスカイト太陽電池の性能は、ペロブスカイト層の結晶構造や膜の均一性に大きく依存します。これらの課題を解決するには、新しい製造機械の開発や、既存の装置を改良することが必要です。

ペロブスカイトを使用した製品例

課題はあるものの、ペロブスカイトは新しいエネルギー技術として引き続き注目されています。ペロブスカイトの材料は、安価で製造が容易であるため多くの製品への応用が期待されています。以下に具体的な商品例を紹介します。

屋外用太陽光パネル

前述の通り、ペロブスカイトを使用した屋外用太陽光パネルは、高い変換効率とコスト削減の両方を実現することが可能です。
もう一つの利点として、日光の弱い時間帯でも高い発電効率を保つことができます。これにより、曇りの日や、日照時間の短い地域でも安定した電力供給が期待されます。さらに、柔軟なフィルム状のものも開発されており、ペロブスカイト太陽電池をビルの外壁に使用するなど、日本国内でも実験的な試みが行われています。将来的には、さらに用途が広がることが予想されます。

屋内用エネルギー供給デバイス

屋内でのエネルギー供給を効率化するために、ペロブスカイトを活用した新しいデバイスが開発されています。ペロブスカイトのもう一つの魅力は、その小型化および薄型化の可能性です。これにより、住宅やオフィスのインテリアデザインに応じて、さりげなく設置することができます。このことで、美観を損なわずに太陽光エネルギーを使用することができるため、多くの人の関心を引くでしょう。
また、これらのデバイスは、スマートホームシステムとの連携が可能です。例えば、AIやIoT技術と組み合わせることで、エネルギー消費の最適化やリアルタイムの電力管理が実現します。このことで、さらに生活の質を向上させるとともに、エネルギーの無駄を防ぐことができます。

【出典・参考資料一覧】

  1. 【1】経済産業省「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第64回)(資料1太陽光発電協会 提出資料)」 ↩︎

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